一般財団法人医療情報システム開発センター PHR プロジェクト

本事業は国立研究開発法人日本医療研究開発機構のパーソナルヘルスレコード(PHR)利活用研究事業の一つ、「医療保険者・疾病管理事業者・医療機関等が連携した生活習慣病重症化予防サービスの標準化・事業モデル創出を目指した研究」として実施させていただくものです。

PHRとは?

パーソナル・ヘルス・レコード(PHR: Personal Health Record)とはつまり、自分の健康や医療の情報を記録したり、参照したりできる電子版の健康手帳です。アメリカでは、ブルーボタン(BluButton)というPHRが既に普及しており、受診した際の診察結果や検査結果、処方や調剤情報などを自分のスマートフォンや自宅のPCから確認したり取得することができ、既に利用者は1億人を超えています。

 

紙のPHR

それでは、日本はどうでしょうか?

元々、日本は手帳文化が盛んな国で、医療や健康の面でも代表的な紙の手帳が3つあります。戦後まもなく作られた「母子健康手帳」、それから「お薬手帳」「糖尿病連携手帳」です。

母子健康手帳は、世界中で広まっている子育てを助ける優秀なツールです。母子健康手帳は、お母さんが妊娠したときに交付され、妊娠時の健康状態から乳幼児の健康の記録や発育の目安、予防接種や感染症の記録など、医師と家族をつなぐ子育ての連携ツールでもあります。

お薬手帳は、受診後に、患者さんが調剤薬局で受け取ったお薬の記録手帳です。患者、医師、薬剤師が調剤や服薬の情報を利活用することで最適な処方、調剤が行える、つまり患者の健康維持や治療に役立つ情報共有ツールなのです。

糖尿病連携手帳は、糖尿病の治療に利用されるもので、医師、看護師、保健師などが連携して患者さんの治療や指導を行い、病状の悪化を防ぐだけでなく、本人が自覚して努力して生活習慣の改善や服薬を行うことで、糖尿病を改善を目指す大切な健康管理・治療のツールです。

 

 

 

 

 

 

PHRの取組み

2011年1月の東日本大震災では、津波で多くの人命や建物が失われました。その中には医療・健康の情報も含まれていました。これまで自宅で保管していた、紙のお薬手帳や母子手帳なども流され、医療機関では紙のカルテが喪失したため、これまでの受診歴、調剤歴、病歴、アレルギーの有無などの情報も失った方達が大勢いました。

震災時だけでなく、外出先での交通事故や急病などの緊急時にも、いつ、どこで、どんな時でも適切な治療や診療を受けられるよう、医療や健康に関する情報を電子化して適切に保管し、あなた自身が希望する目的で情報の利活用ができるような取り組みが進んでいます。

 

PHRの利活用方法

この研究事業では、お薬手帳と糖尿病連携手帳の情報を電子化して、誰もが自分のスマートフォンで利用できるPHRアプリを提供し、健康維持や治療のために自身で利活用を行うと共に、あなたが許可した場合はかかりつけの医療機関や保健師などが連携して情報を利活用できる仕組みを作りました。この事業は、現在、西宮市と佐賀県多久市を対象とし、主な目的は生活習慣病重症化予防ですが、同時に、健康な方にも自身のスマホでPHRを使っていただき、健康診断の結果や特定健診結果で、経年変化や生活習慣の見直しを行ってみたり、調剤データやドラッグストアで購入する薬剤情報を入力してセルフメディケーションを実施するなど、ご自身の望む目的のために、あなたのPHR情報を利活用していただきたいと思います。

 

生活習慣病重症化予防とは?

では、この研究事業の主な目的である生活習慣病重症化予防とは何でしょうか。

糖尿病などの生活習慣病は、重症化するまで特に自覚症状がなく,様々なリスクを放置すると急激に悪化し、脳梗塞や心筋梗塞,慢性腎臓病などの重篤な状態になる場合があります。腎不全で人工透析が必要となった場合は,生活の質の低下と共に,医療や介護の費用も増加します。皆さんが健康で活力ある生活を送り、医療や介護費用の適正化を図る上で、生活習慣病重症化予防はとても重要です。本研究事業は,日本医療研究開発機構(AMED)の委託を受けた(一財)医療情報システム開発センターが中心となり、九州大学病院と関係学会と連携して、西宮市医師会および西宮国保、佐賀県多久市のご協力を得て実施するもので、ICT※1)を活用し、患者さんの特定健康診査結果,受診時の検査結果等の情報を電子的に蓄積し、かかりつけ医や保健師が参照することにより医療従事者が連携して患者さんの疾病重症化予防を行います。 ※1)ICT: Information and Communication Technology 情報通信技術

 

研究事業の全体像

事業の流れは事業の全体像をご覧下さい。(スライド作成:研究代表者・山本隆一)

 

 

生活習慣病自己管理のためのデータ項目セット

生活習慣病重症化予防には、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本動脈硬化学会、日本腎臓学会、日本臨床検査医学会、日本医療情報学会の6学会の合同委員会で検討され採用された「生活習慣病自己管理のためのデータ項目セット」を使用して、疾患の状態把握、重症化予防や効果の検証を行います。データ項目セットについての詳細は日本医療情報学会(JAMI)のサイトをご覧下さい。

 

 

生活習慣病重症化予防の実現

生活習慣病重症化予防の仕組みです。このように患者さんの状態に応じて効果的、効率的に介入し、保健師等の指導で透析や失明に至る重症化の予防を行います。

(スライド作成:研究代表者・山本隆一)